2009年6月27日 (土)

TAM手技療法に関する質問③

・M先生の質問

 今回も回答をありがとうございます。今回の内容について、わからない点がありましたので、詳しく教えていただけませんでしょうか?

 前回、胸椎、腰椎の治療技術に触れていますが、具体的にはどのようなものなのでしょうか?

 それと、これは確認のためにお聞きしたいのですが、例えばTAM治療で「内旋の力をかけたまま、屈曲・伸展させる」といった場合の「屈曲・伸展」は患者の自動運動ではなく、術者が行う他動運動で良いですか?

 臨床におけるTAMについてお伺いしたいのですが、池浦先生は、ばね指や手足のシビレには、TAMでどのような治療をされていますか?

 質問攻めで申し訳ありません。今まで見聞きした治療法の中で、TAMの理論がもっとも自分にしっくりくるんです。今までもやがかかっていたような部分が、TAM理論に当てはめると「あーまるほど!」と納得できるというか・・・。
 というわけで、今後も池浦先生にはご迷惑をおかけすると思いますが、どうかよろしくお願いします!

 P.S. ところでTAMって「ティーエーエム」ですか?それとも「タム」でしょうか・・・?

・八起堂の返信

 TAMはタムと読んでいます。
 テンション・アンド・モーションと、プル・アンド・モーションの二つの候補があったのですが、個人的に親しみのある音にしました(「ジャングル黒べえ」といってわかるのは私の世代までですね)。今にして思えば最後に「アプローチ」をつけてもよかったですね。TAMA。可愛いくてよいのですが。

 さて胸椎、腰椎の技術ですが、基本としては脊椎に当てた手でテンションを、肩や骨盤の動きでモーションを作ります。

 患者は側臥位。術者は患者後方に立ちます。一方の手を患者の肩(腰椎の場合は骨盤)におき、もう一方の手を狙う胸椎(腰椎)にあてます。
 胸椎は回旋が可能なので、棘突起を横(患者中心から外方へ向けて)に圧迫、椎体を中心とした回旋を起こさせテンションをかけます。腰椎は構造上、回旋がほとんどできません。そこで棘突起を垂直(背中から腹方向へ向けて)やや外向けに圧迫、軽い沈み込みとわずかな回旋を起こさせ、テンションをかけます(横突起を狙って垂直に押しても可)。
 
 そのまま、まず肩(骨盤)を患者から見て前方(胸の方向)へ押すと、脊椎はねじりの力を受けます。ついで、そのまま患者の頭方向へ押してゆくと、脊椎は引き伸ばしの力を受けます。そのまま背中方向へ押してゆくと先ほどとは逆のねじりを、足方向へ押すと圧縮の力を受けることになります。上から見ると、患者の肩は円運動をすることになります。
 円運動はそれ自体がテンションとモーションを含む動きになりますので(先ほどの例で言うと、前への引っ張りを残したまま上に向かうことで、テンションとモーションが同居するわけですね)、棘突起への圧迫は治療目標点を明確にする程度、円運動を中心で施術を行います。

 余談ですが、円運動がテンションとモーションを含むのは、筋肉、皮下組織などをマッサージする場合でも同様です。腕などは、両手で挟んで施術(自転車のペダルを漕ぐような交互運動)したりすることもあります。

 ただ、M先生のメールを頂いてから自分の技術を観察してみると、背骨のねじりや引き延ばしの方をテンションに使って、棘突起に当てた手をモーションに使っているケースも結構ありました。この場合、肩や骨盤は一方向に押さえたまま、棘突起をあちこちへ運動することになります。
 背骨の操作を始めたときには、本当に棘突起を押さえて肩腰を円運動していたのですが、いつのまにか変化していたようです。

 次の質問。TAMでの運動は自動運動か他動運動か、という問題ですが、だいたいは術者が行う他動運動ですね。自動運動を含むものは「そのまま体操」の項目に載せました。もちろん、実際には患者さんが動く自動運動を取り込んでも問題ないので、やりやすい方法でよいと思います。
 私は細かい操作をしたいことと、患者さんにいちいち指示するのが好きではないので、他動運動を中心に行っています。

 次に、ばね指としびれについて。
 ばね指の治療では、腱の通る通路を確保することを考えています。
 まずは、腱を触りながら運動させてみて、引っかかっている場所を特定します。その腱と腱鞘の周辺の癒着を解消するべくマッサージをまず試み、変化がなければ関連する関節にTAMの施術を行います。

 手首関節の施術については、ブログに書いたものを基本にして、より細かな動きで手根骨の動きを改善します。指関節については、関節をごく軽く牽引しつつ、ずらし、曲げ、ねじり等の動きをゆっくり、軽い力でおこないつつ、癒着の開放を模索します。
 ばね指を含む指の不調では、指が関節部分でねじれていることがあります。上記施術の最中に、キュッと音を立ててねじりが戻ることがあり、その場合は大抵即治します。

 関節のズレが原因になっているものでは、TAMによって比較的早く治ります。腱の通り道が狭くなっている場合のほうが比較的難治です。私の臨床で、ばね指全体の治療成績を考えると、即治が三分の一、少しずつ改善するのが三分の一、全く効果を示さないケースが三分の一というところでしょうか。

 しびれは、感覚鈍磨や筋力低下を伴う「しびれ」と、感覚・筋力ともに正常で、しびれだけを訴える「しびれ感」に区別します。
 「しびれ」については、神経の通り道をたどりつつ、異常な緊張のある場所、正常な可動範囲を見られない場所を重点的に治療しつつ、解消を目指します。胸郭出口症候群など、一般の解剖学の知識で考えて治療するのが有効です。
 「しびれ感」は、感覚異常で、神経そのものよりも周囲の不快感が原因になっていると考えています。そこで、しびれ箇所に近いところで、動きの不調のある場所を探します。手の痺れでは、肘などが原因になっているケースが多く、比較的早く治療に反応します。

 足のしびれで、SLR(足を伸ばしたまま持ち上げる)が極端に悪いなど、重度のヘルニアのケースでは、残念ながら満足できる治療成績を得られていません。即治はあきらめて神経の通り道を確保、悪化を防ぎつつ、自然治癒を待つことになります(ヘルニアは自然退縮してゆくという研究結果がでています)。ただ、お年寄りの場合には、神経の回復に時間がかかることが多く、足先などに症状が残ることが多いです。

 臨床上の注意ですが、ヘルニアという診断をされた足の痺れ患者の中には、梨状筋症候群が含まれていることがあります。梨状筋を狙って鍼を打つだけで、痺れが完全に消えた患者さんを何例か見ていますので、とりあえず試みて損はないと思います。マッサージでも有効でしょう。
 
 いかがでしょうか?
                                 池浦誠 

付記
 脊椎の治療については、その後も技術が変化した。
 M先生の質問で意識するようになってから急に技術が変わり始め、治療効果がさらに上がってきた。肩や骨盤の手を支えとして使い、脊椎に当てた手でテンションとモーションを兼ねる方法である。

・技術
 患者側臥位。術者は患者後方に立つ。
 肩や骨盤を片手で支え、もう一方の手根(小指丘または拇指丘)で横突起を患者皮膚に対して垂直に圧迫、脊椎の回旋や沈み込みでテンションをかける。そのまま、当てた手で上下左右の動きを与えてモーションとし、患部を狙った治療を行う。
 掌の傾きや、圧迫の方向を変化させることで、これまで以上に微妙な治療ができるようになった。沈み具合で患部の状態(硬さ)もわかり、力の集中もやりやすい。まだ発展途上だが、これからも改善の余地があるだろう。

 M先生からの質問がなければ、まだこの方法を考え付くことはなかっただろう。M先生に深く感謝したい。

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2009年6月13日 (土)

TAM手技療法に関する質問②

・M先生からの質問

  池浦先生、お返事ありがとうございます!
 さっそくですが、お言葉に甘えていくつか質問させていただいてもよろしいでしょうか?

 質問① 仙腸関節調整についてなんですが、2008年12月10日の「TAM手技療法による仙腸関節の調整」の中で、骨盤上口の開閉による調整を説明されてますが、これと2005年11月23日の「AKAの治効理論⑧」にある「普段の臨床では、仙骨を固定し上前腸骨棘と坐骨を圧迫して滑らせる操作を行うことが多い」という手技との違いはなんですか?

 質問② AKAでは「まず仙腸関節を調整、次に胸鎖関節・・・」といった治療手順がとられるようですが、TAMではどういう治療手順をとられることが多いですか? 例えば膝が痛い場合は、まず膝を調整するのでしょうか?

 質問③ TAMがあまり効果を示さない疾患や症例はありますか?

 以上、三つの質問について、池浦先生がお手すきの時でけっこうですので、ご教授いただければ幸いです。本当に、お忙しい中、勝手申し上げましてすみません。私の方こそ、今後ともどうぞよろしくお願い致します。
  

・八起堂の返信

 メール拝見いたしました。質問の内容を見ますと、ブログを熱心に読んでいただいていることがよくわかります。自分の書いたことをきちんと受け止めてくださる方がいるのは、本当に幸せなことです。ありがとうございます。では。

 質問①ですが、私は仙腸関節は平面関節ではなく「骨盤の開閉を行う凹凸の関節」(ただし、荷重は前の部分にかかっている)と考えています。これについては「AKAの治効理論」で書いたとおりです。
 ご質問の2005年11月23日「普段の臨床では、仙骨を固定し上前腸骨棘と坐骨を圧迫して滑らせる操作を行うことが多い」は、外からの圧迫で仙腸関節を凸滑りさせる動きです。当時はまだTAMの出始めで、AKAの凸滑りの治療技術を残していたことによるものです。
 その後、テンションとモーションについてさらに考えるようになり、この動きにAKAの治効理論⑦に書いた「仙腸関節の前後への軸回旋の動き」を加えることで、「TAM手技療法による仙腸関節の調整」の動きに発展したのです。そんなわけで「仙骨を固定し上前腸骨棘と坐骨を圧迫して滑らせる操作」は、今は使っていません。

 質問②について
 AKAにおいては、全身のどんな症状についても、仙腸関節の不調が影響して起こったものであると考えます。「第一原因である仙腸関節を調整しない限り、いかなる治療も効かない」と考えるために、最初に仙腸関節を調整するのです。
 私は「関節に主従関係はない」と考える立場ですので、とくに治療の順番を気にすることはありません。どんな順番で行ってもいいと思います。
 私自身は、
①側臥位の肩→足
②反対側の側臥位の肩→足
③仰臥位で頭→足
④伏臥位で頭→足
 の手順で行っていますが、特に意味はありません。
 ただ、患者さんが「○○が痛い」と言っているときに杓子定規にやると「話を聞いてるの?」ということになるので、主訴の部分と関連部分を最初に調整してから、全身調整に入ることが多いです。

 なお、関節に主従関係はないと思いますが、関連性そのものは確実にあります。一つの関節が痛いと訴える方がいれば、どんなに時間がなくてもその上下の関節を調べて見なくてはなりません。不調のある関節のとなりの関節は、やはり不調を抱えていることが多いです。

 質問③について
 TAMは「組織の癒着をとる」ことを目的にした技術です。したがって、癒着に由来しない症状には効果を出しにくいです。例えば組織の断裂など、大きな変形がある場合には十分な効果は望めません。
 また、筋肉の極端な疲労による場合、炎症がひどく起きている場合には、TAMよりも筋肉のマッサージや冷却の方が効果が高いと思われます(ただし、炎症の後にはよく癒着が生じますから、その治療には有効です)。

 また、技術の性質上、苦手なものもあります。胸椎、腰椎は深くにあるため、不調の位置を調べにくく、正確なテンションとモーションをかけるのが難しい関節です。
 最初のころは「狙い」が不十分で、AKAを使っていたころと同程度の治療効果しか出せませんでした(あくまで当社比)。最近は技術の進歩で効果も上がってきましたが、まだまだ改良の余地はあると思います。

 苦手というのとはまた別ですが「狙った組織にテンションをかけ、それから必要な動きを与える」には、患者さんの筋力が邪魔になることがあります。筋肉が余りにたくましい人、筋肉の緊張が過剰で力を抜けない人の場合には、その筋力を超えて動かさなくてはならないので、かなり疲れます(笑)。最近は、患者さんの動きを誘導して、その動きに乗ってゆく方法を模索しています。
                          池浦誠 

 この項、まだ続きます。

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2009年6月 5日 (金)

TAM手技療法に関する質問①

 先日、熊本県のM先生から、TAM手技療法について質問をいただきました。
 他の方にも役に立つことがあるかもしれませんので、ご本人の許可を得て、掲載させていただきます。
 ただし、文面は必要に応じて省略、改変してあります。

・M先生のメール

「はじめまして。私は熊本で整骨院をしております、Mと申します。最近ブログを読ませていただき、TAM手技療法に大変興味がわき、メールさせていただきました。
 現在、八起堂さんのブログの「治療技術論」の部分をプリントアウトしてファイルして勉強しているんですが、もっと詳しく勉強したいと思っています。
 できましたら、TAMの勉強会のテキストをわけていただけませんでしょうか。本当はセミナーに参加しないといけないのでしょうが、なかなかそちらの方にまで行くことができませんので・・・。
 厚かましいことは充分承知しているつもりですが、それ以上に、もっとTAMのことを知りたく、お願いのメールをさせていただきました。よろしくお願い致します」


・八起堂の返信

 こちらこそはじめまして。八起堂治療院の池浦です。このたびはメールをありがとうございました。
 さて、お問い合わせの件ですが、実は講座で使ったテキストも、ほとんどブログと変わりません。というよりも、ブログの文章の体裁を整えただけのものがテキストになっています。講座では、原則だけ説明して、あとは質問に答えつつ具体的な方法を解説していますので…。

 TAMでは不調の原因を関節や筋肉の癒着と考えていますが、関節一つとってもその障害部位は様々です。例えば肩関節の不調でも、上部が動かない場合、前部が癒着している場合など、ケースによって原因がちがいます。そこで問題部位を治療するため「押す、引く・ねじる・ずらす・皮膚を引っ張る」など、ケースに合わせて動きを変え、原因の部分を「狙う」ようにします。そのため「肩はこれ」というような技法の一般化が難しいのです。もっとも重要な「狙う」ことが抜け落ちて、形骸化してしまう可能性がありますので…(「そのまま体操8」とか「寝違えの対応」のような、誰がやってもある程度の効果を出せる技法は別)。

 そこで、講座では基本原則を説明し、実技で「こんな動かし方もできるのかあ」というイメージだけを持って帰ってもらうことにしました。あとは各自試行錯誤してもらうほうが「原因を狙う」という目的に合った技術を身につけられると思いますので。
 TAMは、技術と言うよりもコンセプトですので「癒着をとる」という意識をもって試行錯誤していれば、講座など受けなくても使えるようになると思います。

 練習方法ですが、まずは「動かない部位、動きを制限している部位」を探すことに習熟してください。関節でしたら、回転の中心や、運動線の変化を見て、原因を見極めます。前面なのか後面なのか、内側なのか外側なのかくらいの大雑把なところから始めて、だんだん精度を上げていきましょう。筋肉、皮下組織なら、患者さんの身体を動かしながら、どの位置で組織が緊張するか、などを見て、判断してください。

 次に、狙う部分に適切なテンションをかけるようにします。
 組織の緊張度は、段階的に変わります。最初は、かける力に比例して抵抗が増える状態(ゴムをひっぱるようなもの。伸びるのに比例して抵抗感が大きくなる)。
 次に、一定の抵抗のまま伸長が起こる状態。餅を引っ張るような感じ。この段階では、短縮した組織に伸長が起きています(この状態では、短縮した組織が正常な状態になるよう、伸長が起きています。この伸長にも治療効果があります)。
 最後に、また急激に抵抗が増し、皮ベルトのような固い弾力を感じる状態。この状態が組織にテンションがかかった状態です。
 テンションが狙った場所にかかっているかどうかは、手応えと運動線から判断してください。

 テンションをかけられたら、このテンションを保ったまま、癒着が解消する方向を探して運動を行います。TAMの項目で書いたような、セロハンテープが剥がれる図を頭において、試行錯誤してみてください。

 テンションの操作、癒着のとれる運動の操作はかなり微妙な場合があり、数センチ、数ミリの差が重要になることもあります。最初はなるべくゆっくりした動作でやってみてください。

 以上、「より詳しい技法のテキスト」はお届けできませんが、不明点などお問い合わせくだされば、できるかぎりご説明したいと思います。
 今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。
                                 以上

 この項目、しばらく続きます。他にもTAM手技療法や、そのまま体操についての質問のある方がおられましたら、お気軽にコメントまたはメールでご連絡ください。

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2009年5月 8日 (金)

失敗のベテランを目指せ

 先月、娘が三歳になりました。
 ついこの間、二歳になったばかりの気がしますが、時間のたつのは早いものです。

 この一年、彼女にとっては失敗ばかりの一年だったなあ、と思います。
 二歳前くらいから、どんなことでも自分でやりたがるようになったので…。

 洋服を畳もうとする。
 ボタンを自分で留めたがる。
 鉛筆を削ろうとする。
 そしてその全てに失敗して、かんしゃくを起こす(笑)。

 「本人のやりたがることはなるべくやらせる」という甘い親の元、彼女の生活は毎日が失敗とともにあります。
 この年齢の偉いところは、失敗ばかりしているのに懲りないところですね。親の手を振り払い、あきらめもせず繰り返しているうちに、少しずつ出来ることが増えてきます。

 少年が事件を起こすと、決まって新聞などにでるコメントがあります。
 「子供のころから甘やかされて全能感を持ち、挫折に弱い」という例のあれ。どうも違和感があります。
 甘やかし、子供のやりたいことをやらせていれば、子供は必ず失敗するもの。毎日が挫折の連続で、全能感など持ちようがないと思うのですが…。

 あるいは、甘やかすという定義が違うのでしょう。
 挫折に弱い子供は、好き勝手を許されたのではなく、囲われていたのかもしれません。親の手出しや、先回りした指示で、本当ならたくさんあるはずの失敗を、得られなかったのではないでしょうか。
 失敗できなかったゆえに、万能感が保たれてしまったのなら、哀しいことです。

 本当の甘やかしは、意思を尊重すること。そして意思を尊重する限り、子供は失敗します。
 無駄といえば無駄なのですが、子供にはたくさんの失敗を与えたいです。失敗しつつ、それでもめげない失敗のベテランとして成長させたいものです。

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2009年4月20日 (月)

もうすぐ紫外線の季節

 今年は桜が咲き出してからすぐに冷え込んだので、花の時期が長かったですね。もっともすぐに初夏並みの気温になったので、あっという間に葉桜になりましたが。

 新緑の時期は、日光の強くなる時期でもあります。
 紫外線は夏だけの問題と考えがちですが、注意するべき季節は夏至をはさんだ数ヶ月。つまり、5月くらいには対策を考えなければなりません。

・サングラスも
 
紫外線対策には、帽子、長袖、日焼け止め薬。
 
それに加えて、もう一つおすすめしたいものが、サングラスです。

 紫外線の季節、太陽光は木々や路面を照らします。眼は、いつも紫外線を含む太陽光線を受け止めているわけですね。

 眼の病気の一つ、白内障は眼の水晶体が白く濁る病気です。この病気は加齢と、紫外線が原因となっていることが確認されています。発病するのは歳をとってからですが、それまでの生活で受けた紫外線の量が影響するとのこと。若いうちからの対策が必要です。

 対策としては、サングラスが一番です。単に色が付いているだけで、紫外線を防げないサングラスもありますから、説明札を見て「UV400」という表示を選んでください。これは波長400nm(ナノメートル)以下の紫外線を防ぐと言う意味で、有害な光をかなりの割合で防いでくれます。

・100円ショップでも売っている!
 
そんな本格的なサングラス、どこで買えばいいの? ということですが。
 不思議なことに、
UV400加工のサングラスは100円ショップでも買うことができます。最初は「本当かな?」と思ったのですが、何年たっても行政指導が入らないところを見ると、本当なのでしょう。
 考えてみれば、メガネの原価は材料費と加工費のみ。UV400加工のプラスチック板を安く仕入れられれば、不可能な価格ではありません。

 そういえば、眼鏡屋で売っている高級品と比べると、いかにも重いです(メガネ屋の商品はポリカーボネイトを使ってたので、薄くて軽かった。1800円)。そして作りも雑。
 私はメガネに付けるクリップタイプを使っていますが、クリップ部分をペンチで調整しないとうまく作動しなかったりします。このあたりが100円の限界でしょう。

 ただ、ポケットに突っ込んだり、落っことしたりという雑な扱いにはかえって向いているのかもしれません。私は愛用しています。

 

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2009年4月 1日 (水)

エイプリルフールに結婚しました

 4月1日といえば、世間ではエイプリルフールです。ウソをついてもいい日ということで、なるべくウソをつくように小学生のころから心がけています。

 この4月1日、私にとっては結婚記念日でもあります。正確には、3月31日が結婚式、4月1日が入籍の日です。別にこの日を選んだわけではなく、式場の予約がたまたま空いていただけなのですが。
 でも、考えますよね? 結婚式の次の日がエイプリルフールだったら。

 当時は会社員でしたが、結婚について職場では一切口外しませんでした。それまでに話していた友人と上司には緘口令を敷きました。そして3月31日、家族だけのささやかな結婚式をすませたのです。

 4月1日、午前休をとって区役所に結婚届を提出した後、出社しました。
 午後の仕事は昼礼から始まります(フレックスタイムの会社だったので)。その日の当番による短いスピーチ、ちょっとした連絡事項の後、上司が言いました。

「他に何か、連絡事項のある人は?」

 私は手を挙げました。

「はい、池浦君」

「さっき結婚してきました。よろしくお願いします」

 上司も一緒になって悪乗りしてくれました。「じゃあ、そういうことで」とあっさり昼礼を終了させたのです。ウソか本当かわからずに、顔を見合わせる同僚たち。これこれ。これがやりたかったんですよ。一生に一度のエイプリルフールネタ。

 席に戻っても、回りはひそひそ話をしていて、誰も話しかけてきません。
 しばらくして隣の席の先輩が、

「エイプリルフール?」

「本当です」

「えー!」

 そこからようやく話しかけてくる人が増えてきましたが、それでも信じる人、まだ騙されていると思っている人など、様々でした。一週間たってもまだ信じていない人もいましたから。
 このあと私は、なぜか「うそつき」と言われていました。エイプリルフールに本当のことを言っただけで、ウソはついてなかったのですが…。

 ちなみに、この話は全て本当ですよ?

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2009年3月19日 (木)

腰はあんまり曲がらない

 前回、腰の骨はねじれるようにできていない、と言う話をしましたが、今回はその続き。

 小中学生のころ、体力測定で「立位体前屈」をやらされましたよね。立ったまま前に体を曲げて、手がどこまで届くか調べるテスト。苦手でしたね。手が床に付くことがなかったですから(今は付きます。小学生のときより体が柔らかい不思議)。
 当時、腰を曲げるテストだと思ってましたが、違うようです。

1.腰はあまり曲がらないSebone

 背骨は、骨と椎間板(クッション)を交互に積み重ねた構造になっています。その背骨が曲がるときには、右の図のように椎間板の弾力で曲がっています。つまり曲がるのは椎間板の弾力分だけ。
 手足の関節など、動く構造がきっちり作られている部分と比べると、大きく曲げるのに向いていないことがわかります。

 それどころか、弾力の範囲を超えて無理に曲げると、椎間板を痛めるおそれもあります。

2.骨盤を動かせ!

 本当は、身体を前に曲げるのは股関節の役目です。
 具体的に言うと、太ももの外側にぽっかり出ている丸い部分。このでっぱりの位置に股関節がありますので、これを支点に、骨盤ごと前に傾けるのが、正しい前かがみのやり方です。

Kosimage_2   右の図は、先ほどの立位体前屈をしているところです。頭の高さは両方とも変わりませんが、左側のほうが、腰骨の曲がりが大きいのがわかります。骨盤が水平なため、背骨を大きく曲げるしかなかったのです。

 右のほうは、股関節で身体を折り、骨盤を前に傾けた状態。骨盤が前に傾いているので、背骨があまり曲がらなくても、頭が下がります。

 股関節で曲げる、と言うと難しそうですが、お尻をちょっと押し出すつもりでやると、自然に骨盤が傾き、楽に曲がります。

 試しに立位体前屈をやってみてください。これを意識するだけで数センチ違ってきますよ。

3.横向きでも同じYokomage

 横に曲げるときも、同じです。
 曲げる方向と反対側に、ちょっとお尻を押し出すようにすると、骨盤が傾き楽に曲がります。

4.身体の動かし方でケガをすることも

 これまで「腰痛の最大の原因は前かがみの姿勢です」と言っていましたが、この通信を書いていて、それだけではないなあ、と実感しました。椎間板や腰椎などを傷める背景には、構造が知られていないゆえの無理な使い方もあるようです。
 憶えていたほうが良い身体の構造、今後も時々お知らせしようと思います。

私事ながら

 骨の構造については、私自身も失敗しています。
 まだ会社員だったころ、肩が疲れたなあ、と思って背中と腕を強くストレッチしたとたん。
 ゴキッと音がして、肩の関節がズレた感じがしました。痛みは無いし、動くのですが、なんとなくダランとのびた感じがします。

「これは、関節が外れたかなあ」と思ったのですが、どんな病院にいけばよいかもわかりません。「押せば何とかなるだろう」と、素人の生兵法で横から押し込んでみたところ…。

 ゴキッ。

 全然関係ない鎖骨のあたりで音がして、急に痛み出しました。それからかなり長く、違和感が残りましたね。

 この仕事に入って肩関節を勉強した時、初めて自分のやったミスがわかりました。
 詳しくは書きませんが、あえてたとえればスライド式の戸を押し開けようとしたような…。

 何事にも知識は必要なものです。

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2009年3月 4日 (水)

腰はねじれない

 スポーツで「腰をねじって」と言われることがあります。ところが、あまり知られていない事実があるのです。
 
腰は、ねじれません。

1.ねじれない構造
Youtui
 右の図は腰の骨、腰椎の簡略図です。

 背骨の構造は、骨と椎間板(クッション)を交互に積み重ねた構造になっています。それだけだと不安定なので、後(背中側)に、上下の骨が支えあうための突起が出ています(椎間関節)。

 拡大図を見るとわかるのですが、上の突起を下の突起が挟み込むようにできています。上下には動けますが、ぶつかってしまうので左右には動けません。 
 つまり前後左右に曲げることはできても、回転させることができないのです。

 ですから「腰をねじるのだ」と思い込んで無理に腰をねじっても、回りません。骨や筋肉に負荷がかかるだけです。
 それどころか、無理に回せば骨の突起部が骨折してしまうことさえあります(いわゆる脊椎分離症)。

2.背中の骨は回る。肩も。

 「いや、腰ねじってるよ、ほら!」
 と言う方もいるとは思いますが…。 

 胴体で、ねじれることが可能なのは胸・背中の部分だけです。背骨のこの部分(胸椎といいます)は、突起が斜めについているのでぶつからず、横に動くことができるのです。
 また、肩の骨(肩甲骨)は、鎖骨を中心として大きく左右に動かせます。
 つまり、ねじれているのは背中の上の部分と、肩だということです。

 ではなぜ「腰をねじっている」と感じるのか。
 胸・背中がねじれると、胸椎についている肋骨が横に移動します。するとお腹の皮膚や筋肉が肋骨の移動に引っ張られるので、腰がねじれているように感じるわけです。

 ということで、実際にスポーツなどで「腰をねじる」場合には、「みぞおちの高さでねじり、腹筋と腹圧で力を溜める」気持ちでやるほうが、解剖学的には良いことになります。見た目はほとんど同じ。意識の持ち方の問題ですね。

3.余談ながら

 ねじりを腹筋、腹圧で受け止めると言うことは、筋力や腹圧しだいでねじれの反発が違ってくるということですね。ためしに身体をねじった状態で、強く息を噴き出すと、ねじれが押戻されます。

 武道で大きな声で気合を入れるのは、呼吸の圧力で胸椎のねじりを押戻し、力を出す意味もあるかもしれません。


もう一つ余談ですが…

 自宅にかかってくる電話の中には、怪しい投資話もあります。
 株式投資とか、金地金の投資だとか、土地の投資だとか。このあたりまでは、怪しいけれども、詐欺とまでは断言できない電話です。もちろん、お金を出したりはしませんけど。
 しかし、先日かかってきた電話は、あからさまに詐欺の電話でした。

「池浦さんのお宅ですか?」


「はい」

「実はいい投資があるんですよ。年利6%の債券なんですけどね」

「はあ」

アフリカ政府公認の債券なんですよ」

「…いりません」ガチャ(切)

アフリカ政府って、なんだよ!」
 とは、あえてツッコミませんでした。
 手はツッコミの形に動いてましたけど。

 若い女性の声でしたが、もしかしてこれも、学力低下の表れ?

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2009年2月18日 (水)

役立つ雑音

 いまでこそ寝つきの良さは折り紙付ですが、昔は眠れないこともありました(ごくまれに)。

 こんなときは、ちょっとした音が気にかかったりしました。風の音や、遠くの車の音、挙句には時計の動く音までうるさく感じたものです。

「もっと静かなら眠れるのに…」と思ったりしましたが、今にして思えば逆でしたね。静か過ぎる環境は、かえって神経を敏感にするのです。

 人間が一番リラックスできるのは、適度で変化の少ない雑音の中だそうです。 変化が少ない、というのは、音の大きさが変わるたびに神経が刺激されるため。単調なほうがいいのです。

 「意味がない音」であることも必要です。人の言葉や、歌詞のある歌では、つい聞き取ろうとしてしまうため、リラックスすることも集中することもできません。
 学生のみなさん、歌を聴きながら勉強するなんて、無理な話ですよ?

 ある会社では、社員が仕事に集中できるように社内に単調な音を流しているとのこと。他の社員が電話する声や、関係ない会話が雑音で打ち消されて、仕事の能率が上がったといいます。

 この話に感心して、私もやってみることにしました。「せせらぎの音」とか「波の音」といった環境音のCDを買ってきて、電車などで聞くことにしたのです。なるほど、車内の会話や雑音が聞こえなくなり、集中できました。なかなかのスグレモノです。

 と思っていたのですが、つい数日前に気付きました。

 手元のラジオをFMにして、チューナーを音声の入らないところにあわせると、「サー」という、いわゆる砂嵐の音になります。こちらの音の方が変化が少ない分、安定して騒音を打ち消せて、はるかに実用的だったのです。べつにCDを買うこともなかったのでは?

 いいですけどね、環境音CDは治療室で使いますから…。

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2009年2月 5日 (木)

腰痛の話

 腰痛には、いつもじわじわ痛い慢性の腰痛と、急性のぎっくり腰があります。この二つ、違っているように見えますが、原因はほとんど同じです。負担がかかっている腰が、ゆっくり痛くなるか、あるきっかけで痛くなるかだけの差です。

1.前かがみはつらい!
 腰痛の一番の原因は、前かがみの姿勢です。
 長い棒を片手で持っていると考えてください。まっすぐに立てて持っていると楽ですが、斜めにして持つと、かなりつらいものです。前かがみの姿勢はそれと同じで、腰の負担は、立っているときの数倍におよびます。この負担は腰や背中の筋肉を疲れさせ、背骨の椎間板を傷めます。

2.予防法
 予防策にはいろいろあります。
 時々前屈して腰の筋肉をストレッチしてやる(無理に姿勢を良くするのは、筋肉を疲れさせるので逆効果)。腹筋を鍛えて負担を減らす。腰痛体操をする…。

 最も簡単な対策は、歩くことです。
どんな筋肉にもいえることですが、疲れた場合に必要なのは血行の改善です。そしてもっとも有効な血行改善策は、動かしてやることなのです。
 椎間板も同じです。椎間板は適度な振動を受けることで栄養を補給され、弾力性を取り戻してゆく性質があります。
 適度な動きと適度な振動。その二つを実現する最も簡単な方法が、歩くことなのです。力みすぎると血の巡りが悪くなるので、力をいれずダラダラ歩くことがお勧めです。

3.ところで八起堂の見解としては…
 上記の話は、一般的な腰痛対策の話です。「足の八起堂」としては、これに足の影響も加えたいと思います。腰痛に悩む方を診ていると、足首が固く、つま先の上がらない方が多いのです。
 つま先が上がらない人が膝を曲げると、足首の固さがネックになって、滑らかに歩けません。その方向の足を無理に持ち上げることになり、腰痛を起こしているのではないかと思われる節があります。特に思い当たる理由がないのに、偏った腰痛が起こる方は、一度ご相談ください。

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2009年1月31日 (土)

変化…前回の続き

 「脳のトレーニング」が盛んに言われていますが、もっとも有効なのは、新しい技能の習得だそうです。どんな体操でも練習でも、有効なのは最初のうちだけ。そのうち動きや思考のパターンが脳にインプットされ、それをなぞるだけになります。こうなると何度繰り返しても脳には刺激が加わらないためトレーニングにならないとか。
 安定は衰退。新しい体験をすることが、健康上必要だ、ということになります。
 で、ここからが前回の続きですが、障害やトラブルは、そういう意味で役に立っているのではないか、とも考えられます。

 先日、テレビで面白い作曲ソフトウェアの話をしていました。CACIEという作曲支援ソフトで、作曲に遺伝アルゴリズムを使っているとのこと。
 このソフトは、ランダムに16のフレーズを作成します。使い手は、その中から自分好みのフレーズを選び出します。するとコンピュータは選ばれたフレーズを組み合わせ発展させて、また16のフレーズを作ります。これを繰り返しているうち、自動的にその人好みの曲が作成されるという仕組みです。
 面白いのは、好みでないフレーズも一定の割合で用いられること。また、それまでとは関係のない新しいフレーズも、突然変異的に入り込んで来ます。
 ソフト作成者いわく、好きなフレーズだけ残していると、いつも同じような曲ばかりになってしまうので、わざと好きでない音も残すとのこと。好きでない音が混ざることで、本人も気づかなかった好みや、新たなフレーズが発見されて新鮮な作曲が出来るらしいのです。

 好みのものばかりに囲まれると、人間は同じパターンの中に閉じこもってしまう。嫌なもののはずが、可能性を広げ衰退を防いでいるわけです。

 ケガや病気で人生観が変わった、という人もいるわけですから「障害は役に立つ」と割り切ることが出来れば、人生が楽しそう。
 「じゃあお前は障害が好きか」言われたら、確かに好きではないのですが…。

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2009年1月17日 (土)

歳の初めの試しとて。

 先日、ふと思いついて「理想の世界」がどんなものであるか、想定してみました。

 もちろん平和。戦争も紛争もない。病気も痛みもないし、犯罪も飢えもない。みんな笑顔で親切で、人と人の争いもない。失恋もないし、なりたいものには何でもなれて、欲しいものはすべて手に入る(物理的に可能であるかどうか、今は考えない)。
 そうしたら、どうもその世界に住みたい気が起こらないのですね。落ち着きが悪い。

 さらに私一人だけに都合の良い状態、という方向でも考えてみました。
 治療をすれば触るだけで治る大名人。良き友人にのみ囲まれ、気の合わない人と出会うことがない。もちろん金に不自由しない。どんな本でも読めばすぐに理解、記憶が出来て、文章もいつも思ったとおりにすらすら書ける。100メートルは8秒台で走れ、マラソンも柔道もアーチェリーも体操も得意で、金メダルを百個くらいもっている。事業を立ち上げれば大当たり、政治に口を出せば、全ての問題がすらすらと解決できるとしたら…。
 じーっと想像してみると、なぜかやっぱり楽しくない。

 阿波研造という弓の名人がいたのですが(オイゲン・ヘリゲル著「日本の弓術」に師匠として登場)、上達しすぎて、的に必ず当たるようになったために悩んだそうです。
 抽象画の大家ピカソは、もともと具象画を描いていました。ところがあまりにうまく描けることに悩み、挙句にキュビズムを考え出したという話を聞いたことがあります。
 一見逆のように思えるのですが、本人たちには深刻な問題だったようです。

 我々にもそんなところがありますね。登山なんて、わざわざ重い荷物を背負って、ろくな食事もないところまで歩いていきます。
 簡単なところでは、テレビゲーム。全ての敵が一撃で倒せるスライムで、ダンジョンが一本道で、魔王退治までさくさく進んだら…。断言してもいいですが、絶対売れないと思います。

 そう考えると「苦労がない、すべての願いがかなう状態」は人間の本能に合わない気がしてきました。
 私たちは不自由ない状態を望んでいるように見えて、実は望んでいないのかもしれないです。適度な障害を何とかしてクリアする、あるいはその方法を考えることのほうが、人間にとって楽しいのかもしれません。
 我々は日ごろ「ああー、ままならない」と思って生活していますが。この世界、本当は結構住みやすいのかもしれません。

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2009年1月 2日 (金)

あけましておめでとうございます+新宣言

また新しい一年が始まりました。

 本年もどうぞよろしくお願いいたします。

 さて八起堂治療院は、今年、新しい宣言をします。それは、

 効果を感じない・治療が合わない方には返金

 という宣言、つまり保証宣言です。 

・空のどんぶりにお金はいらない

 例えば、ラーメン屋に入ったとしましょう。店員がラーメンを作ります。ところが、そのラーメンを運んでくる途中でひっくり返してしまい、空っぽのどんぶりを持ってきたら。あなたは、お金を払いますか?

 私なら、払いません。ラーメンを食べに来たのですから、どんぶりが空では困るのです。

 でも治療業界では、これが当たり前でした。決まった時間だけ施術したら、効果があろうがなかろうが、患者さんが快適だろうが不快だろうが、お金をもらうのが普通です。

 しかし患者さんは「症状を治す」ため、「気持ちよくなる」ために治療院に来てくださるはずです。としたら効果がない、気持ちよくもない治療は「空のどんぶり」ですよね。
 患者さんは自分に合った治療を受ける権利があります。ダメな治療にお金を払う必要はありません。

 返金保証は、治療院としては珍しいかもしれません。しかしそれは現在の話。
 将来はこれが標準になって、患者さんが効果のある治療を選んで受けられるようになると信じています。

・返金内容の詳細

 治療を受けてみて「効かない、合わない」と思われたら、お申し出ください。三回分を上限として、それまでに払われた治療費をお返しします。
 治療に効果があるかどうかは、一、二回の治療でわかっていただけると思っています。


 新しい患者さん以外でも
「最近、効きが悪い。八起堂での治療をやめたい」
 という方はお申し出ください。やはり三回分を上限として、返金いたします。

 八起堂は今年も「中身のある治療」を心がけてゆきます。

 どうぞよろしくお願いいたします。

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2008年12月10日 (水)

TAM手技療法による仙腸関節の調整

 同業者向け。Kotuban

 先日、リンクにもある洛陽健康倶楽部において、TAM手技療法の講習会を行った。テキストはこのブログをベースにして作成したが、その際、仙腸関節調整についてブログで発表してなかったことに気がついた。遅ればせながら、仙腸関節に対するTAM治療について掲載する。

 Kanryaku_2 治療を行うに当たっては、構造・動きについて、それなりのイメージがなければならない。しかし仙腸関節は、未だにどのような運動を行うのか定説のない、不思議な関節である。運動範囲が小さく測定しづらいこと、身体の深い部分にあることなどが、その原因である。

  AKAの本では仙腸関節を平面関節であると考えているようだ。しかし、骨格標本を見ればわかるが、仙腸関節は決して平面ではない。仙骨側に凹、腸骨側が凸になっているのがわかる。
 Hataraki_2 私は関節面の構造と、筋肉のつき方から「仙腸関節は、骨盤を運動させる軸となるもの」と考えている。右図にあるように、骨盤を開閉させ(上下に動かして)、ショックアブソーバーとしてはたらいたり、姿勢を変える補助的な動きをしているものと考えている。
 また仙腸関節の前側は逆ハの字型をしており体重を支えるのに適した構造になっているが、後ろ側はほぼ並行になって、重量を支える形をしてない。体重はほとんど前側で支え、後半は比較的自由に動くことで、前屈・後屈時の前後運動の補助もしていると考えられる。

  仙腸関節においても、緊張を与えながら動かして組織の伸展、癒着の開放を狙うという点では変わらない。仙腸関節のTAMは、骨盤の開閉の動きと、仙腸関節で起こる回旋の、二つの動きを組み合わせて用いる。

・手技
 患者は側臥位。右側を上にした側臥位なら、術者の左手を仙骨に当て、右手を上前腸骨棘にあてる。右手を患者から見ての後下方へ引き、骨盤上口が開くように操作する。そのまま骨盤を患者にとっての前屈、後屈となるように回転させ、仙腸関節に軸回旋を起こさせる。
 ついで上前腸骨棘を患者から見た前上方へ押し、骨盤上口が閉じるように操作する。そのまま骨盤を前屈・後屈になるよう回転させ、仙腸関節に軸回旋を起こさせる。

 患者の下肢を持ち股関節の内旋、外旋をつかって骨盤の開閉を行う方法もある。ただし、患者の身体が不安定になるので、わずかな動きが痛みを引き起こす患者には使用しないほうが良い。

 AKAでは仙腸関節の滑りにより、かえって痛みが増すことがあったが、この「骨盤開き・軸回旋」の組み合わせ運動では、まだ一例も悪化例を体験していない。これは、仙腸関節が凹凸と考える構造モデルの正しさを、間接的に証明するものと考えている。

付記
①AKA的には腸骨を凸すべりさせたいところだが、よほどの困難例でなければ、開閉だけで改善が見られる。運動範囲が狭く、すべる距離が短いからかもしれない。

②骨盤を開く・閉じる動作をゆっくりと行うだけでも仙腸関節の運動は多少改善する。最初はこちらから始めることをお勧めする。

③「骨盤を前屈・後屈になるよう回転させ、仙腸関節に軸回旋を起こさせる」の動作が難しければ、患者に腹式の深呼吸をしてもらうことで代用できる。

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2008年11月28日 (金)

こんなタバコもあったのか

 私はタバコは吸いませんし煙も苦手ですが、その一方でタバコ文化には羨望を禁じえません。とくに葉巻やパイプには、コレクター的な広がりがあって面白そうです。この手の話を聞くと、自分とは縁のない娯楽をみる疎外感を感じますね。下戸の気分も、こんなものだろうかと想像したりします。もっとも、普通の紙巻タバコは面白みに欠けるので、迷惑な煙の発生源にしか見えませんけど。

 先日、喫煙家の先輩に送るつもりで変り種のタバコを調べていたら、スヌースというタバコを発見しました。指の先くらいの紙包みで、加工したタバコの葉が入っています。これを口の中に入れて(上の歯茎に挟む、と書いてある)、染み出すニコチンを摂取するわけです。火を使わないので副流煙はゼロ。禁煙車だろうが、子供や妊婦のいる場所だろうが、どこでも手軽にタバコを楽しめます。しかも一包みで数時間も保つらしいので、経済でもあります。発ガン物質のひとつタールが発生しないこと、肺に煙を入れないことを考えると、普通のタバコよりは健康被害もいくらか少ないかもしれません。

(こちらのホームページで見られます。 http://www.rakuten.co.jp/snus/index.html)。
 同じホームページで、粉末を鼻から吸い込む、かぎタバコも扱っていました。このスヌースもかぎタバコも、外国では比較的ポピュラーなものらしいです。しかし現在のところ、日本のタバコ屋ではこれらのタバコはまず売っていません。ほとんど通信販売オンリーです。
 
 このところ禁煙の場所が増えてきましたね。
 私は、煙を吸いたくない人に配慮している限り、喫煙は自由だと思います。楽しむのも害を受けるのも、本人は納得しているはずですからね(でも健康保険料はもう少し負担して欲しい。タバコ税を上げるより、健康保険料を一部負担してもらうほうが公平ではないでしょうか? どちらも値上げだから同じだといわれるかもしれませんが)。
 吸いたくない人がいる以上、場所を限定するのは仕方がないかもしれません。しかし公共の場を禁煙にするというのなら、煙の出ないタバコを入手しやすくする配慮があっていいと思います。自動販売機には必ず煙の出ないタバコを入れるとか、方法はあるはず。
 好みの違う人が共生するのですから、選択肢は多いほうがいいと思うのですが。

 さて、これを送った先輩の感想はいかに。

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2008年11月20日 (木)

腰痛から考える幸福論

 先日、NHK「病の起源 … 腰痛」を見ました。その中でも「慢性の痛みは脳の中に痛みの回路を作り出し、実際には無い痛みまで感じさせる」というくだりは、興味深いものでした。

1.痛みの専用回路
 人間の神経は、使うほど流れが良くなります。スポーツの練習など見ていると、繰り返しているうちに上手になり、意識しなくても出来るようになりますね。繰り返しによって脳に専用の回路ができ、早く確実に信号が伝わるようになるのです。 

 同じことが、痛みでも起こります。痛みが繰り返されると脳に「痛みの専用回路」ができあがり、痛みに「上達」します。しまいには痛み回路が勝手にはたらき、原因が無くても痛みを感じるようになるとのこと。
 このことがわかってから、病院でも麻酔薬を早めに使うようになってきたそうです。腰痛も、長く我慢をするよりは早めの処置が良いようです。

2.不機嫌専用回路
 ところでこの「専用回路」の話、医学を離れても通用しそうな気がします。
 例えば、顔の筋肉を動かしているのも神経。使うほど流れがよくなります。毎日不機嫌な顔をしていると不機嫌顔の専用回路ができるわけで、やがては理由がなくても不機嫌な顔になるはずです。
 リンカーンは「40歳を過ぎたら自分の顔に責任を持て」と言ったそうですが、ふだんどんな顔をしているかが、顔のつくりまで変えてしまうことがわかります。

 怒りや悲しみ、嫉妬といった感情も、脳においては信号として処理されます。したがって、怒りを感じている時間が長い人は「怒り専用回路」ができて、より怒りやすくなるでしょう。悲しみにひたっている人は、すぐに悲観的になる回路が出来てくるはず。
 逆に、日々幸せを感じている人は「幸せ専用回路」ができて、幸せを感じやすくなるのではないでしょうか。

3.ポリアンナは正しかった
 回路が自動的に出来てしまうのだとしたら、なるべく幸せの回路を作りたいもの。
「そんなことを言っても、腹が立つことが起こるんだから仕方ない」
 という声がありそうですね。

 もちろん悪いことがあれば、誰でも腹が立つものですが。
 怒りには「その場で怒る」と「思い出して怒る」の二種類がありますよね。その場の怒りはしかたないとして、思い出して怒る回数は、減らせます。腹が立つことを思い出しかけたとき、わざと別のことを考えて頭から追い出せばいいのです。
 昔から「落ち込んだら身体を動かせ」とか、「失恋の痛みを癒すには新しい恋を」といわれるのは、悪いことを思い出さないための対策だったのでしょうね。趣味に没頭してもいいし、笑える本やテレビを見ることもできます。
 使われない回路は衰えて、やがては消滅します。回路は変更できるのです。

 昔、ハウス名作劇場「愛少女ポリアンナ」の主人公は、寝る前にその日の良い事を数える「良かった探し」を習慣にしていたと聞きました(すみません、番組は観てなかったので、伝聞)。
 最初に聞いたときには「なんと説教くさい話か」と思ったものですが、今にして思えば科学的根拠のある幸福技術だったことになります。
 ポリアンナは正しかったのですよ。たぶん。

4.ストレスが作る腰痛
 話はもどって、同じNHKの番組で、精神的な緊張が腰への負担を増やす、という実験がありました。ストレスが作る緊張が、筋肉を固くしてしまうのです。実際に患者さんを見ていても「ストレスがコリになってるなあ」と思う方は少なくありません。身体の緊張が強すぎて、力が抜けないのです。
 だとしたら、幸福の回路が出来ればストレスも減って、腰痛や肩こりの予防にもなるはず。なるべく幸せの回路に変更していきたいものですね。

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2008年11月 3日 (月)

そのまま体操10

 いよいよ11月、秋らしくなってきました。このころになると、寒さが身に染むという人も出てきます。
 以前にも書きましたが、冷え性対策の一つに、冷水療法があります。お風呂上り、温まった手足に、ほんの一瞬、冷水のシャワーをかけます。ちょっと考えると手足が冷えてしまいそうですが、しばらくすると反作用で温かくなってきます。人体の回復力のなせる技です。もちろん、普段は手袋や靴下で保温を。

 さて、今回は腰の体操です。Kosimage

1. 横向きに寝た状態から上体を起こす。このとき、脇腹をのばすつもりで。

2.そのまま、胸をそらして、思い切り息を吸い込む。腹も膨らませるように。

3.胸、腹をへこませるつもりで、思い切り息を吐く。左右両方行うこと。

 実際に人間がやると、上体が垂直に近いほど起き上がった姿になります。写真の姿はモデル人形の限界ということで、あしからずご了承ください。
 この体操が狙っているのは、腰の骨と、その周囲の筋肉です。
 腰痛を起こす人の大半は、腰椎(腰骨)の周辺筋肉が固くなり、痛んでいます。その筋肉と、筋肉に関わる関節(脊椎にも関節があります)にテンションをかけて動かすことで、柔軟性を取り戻します。
注意点としては、腰骨が動くように大きく深呼吸すること。背骨が十分に前後に動くことで、効果が出てきます。

 余談ですが、この体操のポーズ、写真を撮りながら「コペンハーゲンにある人魚姫の像に似ているなあ」と思っていたのですが、確認してみると全然似ていませんでした。人間の記憶はあてにならないものです。どちらかというと、西洋画によくある裸婦像に似ていますね。
 さらに余談ですが、コペンハーゲンの人魚姫像、人魚なのに足があります。この人魚姫のモデルは製作者の妻だそうで、妻の足があまりに美しかったので、下半身全体を魚にするのをやめ、足を残したのだとか。歴史的な公私混同ですね。

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2008年10月28日 (火)

電脳化が招く世界は

 前回に引き続いて。
 アニメ「攻殻機動隊」は、ご覧になったでしょうか。
 このアニメの舞台は2030年の日本。電脳化と称して、人の脳がインターネットに直接接続されています。言葉や映像などが伝達されるのはあたりまえ。格闘技や射撃の技能までがプログラムとして販売されています。
 他人の脳にハッキングを仕掛け、見てもいないものを見せたり、記憶を操作したりする駆け引きが、このアニメの面白さでした。
 では、本当に脳が直接ネットで連結されたら、どうなるでしょうか。

 まず「浅い」接続。テキストデータや映像などをやり取りするだけならば、パソコンを使っている現在の生活と、さほど変わりはないでしょう。表示場所がディスプレイではなく、頭の中になるだけです。
 ただ、学習の機会は飛躍的に増えますね。テレビを見ていると、サブプライムローンだとか、シーア派だとかいう単語が飛び交っています。私たちはちょっとした興味を抱きますが、たいていの場合はわざわざ調べません。脳が直接ネット接続していたとしたら瞬時に、しかも自動的に調べられるようになります。知識のある人は増えるかもしれません。
 ただ、情報発信のハードルが低くなるほどに、価値のない情報が増える、という現状があります(現在、インターネットでやり取りされるメールの85%は迷惑メールだそうです)。人間の脳が直接インターネットに接続されたら、
「はらへった」
「ねむい」
 といった、どうでもいい情報がネットにあふれて、使い物にならなくなりますから、それを選別する方法を考える必要はありますが。

 では、もっと深いところまで接続し、他人の記憶や視界まで共有できたとしたら、どうなるでしょうか。
 いま私が「フェルマーの最終定理の証明」を読んだとしましょう。わけのわからない言葉や数式の羅列にしか見えないと思います。
 ところが、この定理を理解した人の脳から必要な情報を引用できるとしたら、話は違ってきます。数学の基礎知識から定理の証明にいたる各段階、理解にいたる筋道の記憶が、丸ごと自分のものになるのです。私は即座にフェルマーの最終定理を理解するでしょう。のみならず、もとの人の影響で「面白い!」と感じるかもしれません。
 そして、そこが問題でもあります。

 「理解」は、新しい知識をすでに持っている知識と関連付けること、といわれています。したがって、ひとつの情報を理解するために、イモヅル式に多くの情報がくっついてきてしまいます。
 例えば「鉛筆」について語るとき、それは「黒鉛と粘土を混合した芯を、木材で挟んだ筆記用具」だけを語っているのではありません。社会人は、鉛筆という単語にノスタルジックな響きを付け加えているかもしれません。鉛筆の貸し借りから恋が芽生えた、などというベタな経験を持つ人なら、恋人との様々な思い出が付帯していることでしょう。
 その人々から「鉛筆」という単語を背景付きで受け取れば、その思い出や感情までついてきます。「深い」情報共有では、他人の人生経験や価値観まで取り込まざるを得ないのです。
 例えば、アメリカ経済について調べていただけなのに、気がつくとアメフトを見たくなっているかもしれません。古典芸能を調べていたのに、蕎麦好きになっていたりするかもしれません。 いつの間にか自然に価値観が変化してゆきます。
 この「汚染」は、意識できませんし、事前の選別も不可能です。多くの人の脳が静かに混ぜ合わされるでしょう。

 さらにもっと深く接続されたら。
 取り込んだ他人の記憶と自分の記憶の区別がつかなくなると、
「昔の恋人とすれちがった。でも、自分の恋人だったかどうかわからない」
 などという、状況が出現するかもしれません。 
 それとも、過去いくつかのSFで書かれたような、自他の区別のない集合意識の生き物になり、平和な社会が到来するのか…。この手の話は、興味がつきません。

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2008年10月22日 (水)

サイボーグの未来

 いよいよロボットスーツのリース販売が始まりましたねえ。茨城県つくば市、サイバーダイン社のHAL。人間が着込んで操作する、いわゆるパワードスーツです。

・参考 サイバーダイン社 http://www.cyberdyne.jp/index.html

 人間の動きを読み取り、モーターで補助するロボットスーツです。現在は主に福祉向け用途で販売されています。足に障害を持つ人を補助して歩けるようにしたり、怪力を生かして介護に利用したり、という目的ですね。
 子供のころ「ガンダム」なぞ見てしまった世代にとっては、非常に感慨深いものがあります。こうやってロボットは身近なものになってゆくのですねえ。そのうち、もっと優秀なロボットスーツを街中で見る日が来るかもしれません。
 
 ところで子供のころ、テレビでロボットと同じように扱われていたのが、サイボーグ。身体の一部を機械に置き換えた人間のことです。こちらの方も進歩しつつあって、皮膚からの電気信号で思い通りに動かせる義手が、実用化に入りつつあります。

 昔のSF…たとえば「サイボーグ009」では、超人的なサイボーグが出てきました。では、将来は街中で超人サイボーグを見るようになるか? …おそらくそうはならないでしょう。
 例えば、怪力を出せるサイボーグ。骨格から筋肉までサイボーグ化すれば、実現可能です。しかし先ほどのHALを使えば、同じことが手術なしで出来てしまいます。同じく、高速で走れるサイボーグでは、バイクに乗るだけで実現できます。
 大抵の能力は、道具の持ち換えだけで実現してしまうので、手術をしてまで身体に機械を埋めこむメリットがないのです。

 結局、実現するのは失ったものを取り戻すためのサイボーグだけでしょう。手を失った人のために手を、足を失った人のために足を。
 そのサイボーグも、iPS細胞をはじめとする再生医療の進歩で、やがては消えてゆくはずです。
 おそらく、未来の社会にサイボーグはいないでしょう。町にいるのは、今と同じ普通の肉体を持った人たちです。そしてところどころにロボットや、ロボットスーツがあって、人の生活を助けているのでしょうね。

 ただ、もう一つのサイボーグの形があります。アニメ「攻殻機動隊」にあったような、脳とコンピュータ(インターネット)を直結するサイボーグです。世界中にあふれている情報と脳を直結することで、人間の能力が飛躍的に拡大するというのですが…。
 これはちょっと面白い話ですので、また項をあらためて書いてみましょう。

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2008年10月 2日 (木)

足の治療で、速く走れる場合

 八起堂治療院は足首の治療を重視しています。それは足首の傾きやズレを整えることで、膝や腰にかかる負担が減らせ、痛みが減らせるからです。

 ところでスポーツ選手に足首の調整をするとどうなるでしょうか。理屈から言えば、調整で動きのバランスが良くなり、速く走れても不思議ではありません。

 このたび、明治国際医療大学(明治鍼灸大学)陸上部と、京都府立南丹高等学校陸上部の協力により、この実験を行うことが出来ました。以下、そのレポートです。私は陸上競技は門外漢なので、必要事項の不備などありましたら、お教えいただけると幸いです。

1.当日の条件
・ 天候 晴天 微風 
・ 場所 明治国際医療大学 陸上競技場(タータン)

2.実験手順
①ウォーミングアップの後、100メートルを一回走り、記録をとる。
②足首を中心に関節の治療、調整を行う。(一人あたり5分程度)
③100メートルを走り、記録をとる。
 計測方法は手動計測を用いました。

3.結果
・高校生

 高校生で1回目、2回目を走ってくれたのは5人。全員に調整を施しました。

名前  自己ベスト   一回目 → 二回目

A君   12.08    12.24 → 12.10
B君   11.18    11.18 → 10.88 (自己ベスト更新)
C君   11.45    11.63 → 11.53
D君   11.98    12.15 → 11.93 (自己ベスト更新)
E君   12.60    12.30 → 12.30 (調整前に自己ベスト更新)

 5人中4人のタイムが、調整後に記録短縮しています。しかし比較群(調整を施さない被験者)をおかなかったため、調整によってタイムが短縮したのか、たまたま一回目よりも二回目の方が走りやすい環境になっていたのか(風速、温度など)はわかりません。

 ただしB君、D君の二人が、調整後に自己ベストを更新していることは、意味があるかと思われます。E君は調整と関わりなく、一回目で自己ベストを更新しています。

・大学生
 大学生では、全体を二組に分け、片方のみに調整を施すことで、比較群を設けました。

名前  自己ベスト 一回目 → 二回目
F君    11.40    11.63 → 11.52  -
G君   11.30    11.74 → 11.61  -
H君             13.06 → 12.76  -
I君     11.96    12.62 → 12.27  調整有り
J君    11.30    12.15 → 12.03  調整有り
K君    11.80    13.30 → 12.45  調整有り

 全員のタイムが短縮しています。調整しなかったランナーの記録も短縮していることから、何らかの理由で2回目のコンディションがよかったと考えることができます。

 実験群と比較群の数字を見る限りでは、はっきりした差を見てとる事はできません。
 ただし施術後に記録が落ちた例はないので、少なくとも害はないようです

4.施術を受けた人の感想
・ 「足が軽い」
・ 「動きやすい」
・ 「体重が真っ直ぐ抜ける」
などなど、おおむね調整後の感想は良好でした。

5.まとめ
 結論を出すにはサンプルが少なすぎますが、足関節の調整のみでは、調整群と実験群で、わかりやすい結果は出ませんでした。
 もっと多数で実験すれば、記録のばらつきに埋もれていたような、微妙な差が出る可能性はありますが、それには実験をかさねる必要があります。

 ただ、個々の選手に着目すると、別の見方も出来ます。
 今回の実験前に今までのケガの記録を書いてもらったのですが、過去(小中学生のとき)に足関節の捻挫、不調があったと書いてくれた人が4人いました。B君、D君、I君、J君です。このうちB君、D君が自己ベストを更新しています。

 自己ベストという結果を重く見るなら「足関節に捻挫の後遺症を持っていた人では、施術によって記録が伸びる場合もある」と言えそうです。
 いずれにせよ、さらにサンプル数を増やして実験しなければ、十分な結論はだせないでしょう。

 今後、実験の課題としては、
①さらに多くの人数で同じ実験をしてみることと
②長期で追跡調査をした場合の結果を見ること
③他の部分の動きを改善する実験をしてみること
 などが挙げられます。

 ③についてですが、足首の他に、走る際に大きく動かす肩、骨盤などの調整を考えています。 
 もし、実験に参加しても良いという方、おられましたら、ご連絡をいただけると幸いです。

 なお、足首の捻挫後遺症で現在困っておられる方は、このブログの「そのまま体操8」を参照してください。本格的な施術には及びませんが、ある程度の効果が期待できます。
そのまま体操 http://hakkidou.cocolog-nifty.com/kawaraban/cat20225055/index.html

  

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