腰痛から考える幸福論
先日、NHK「病の起源 … 腰痛」を見ました。その中でも「慢性の痛みは脳の中に痛みの回路を作り出し、実際には無い痛みまで感じさせる」というくだりは、興味深いものでした。
1.痛みの専用回路
人間の神経は、使うほど流れが良くなります。スポーツの練習など見ていると、繰り返しているうちに上手になり、意識しなくても出来るようになりますね。繰り返しによって脳に専用の回路ができ、早く確実に信号が伝わるようになるのです。
同じことが、痛みでも起こります。痛みが繰り返されると脳に「痛みの専用回路」ができあがり、痛みに「上達」します。しまいには痛み回路が勝手にはたらき、原因が無くても痛みを感じるようになるとのこと。
このことがわかってから、病院でも麻酔薬を早めに使うようになってきたそうです。腰痛も、長く我慢をするよりは早めの処置が良いようです。
2.不機嫌専用回路
ところでこの「専用回路」の話、医学を離れても通用しそうな気がします。
例えば、顔の筋肉を動かしているのも神経。使うほど流れがよくなります。毎日不機嫌な顔をしていると不機嫌顔の専用回路ができるわけで、やがては理由がなくても不機嫌な顔になるはずです。
リンカーンは「40歳を過ぎたら自分の顔に責任を持て」と言ったそうですが、ふだんどんな顔をしているかが、顔のつくりまで変えてしまうことがわかります。
怒りや悲しみ、嫉妬といった感情も、脳においては信号として処理されます。したがって、怒りを感じている時間が長い人は「怒り専用回路」ができて、より怒りやすくなるでしょう。悲しみにひたっている人は、すぐに悲観的になる回路が出来てくるはず。
逆に、日々幸せを感じている人は「幸せ専用回路」ができて、幸せを感じやすくなるのではないでしょうか。
3.ポリアンナは正しかった
回路が自動的に出来てしまうのだとしたら、なるべく幸せの回路を作りたいもの。
「そんなことを言っても、腹が立つことが起こるんだから仕方ない」
という声がありそうですね。
もちろん悪いことがあれば、誰でも腹が立つものですが。
怒りには「その場で怒る」と「思い出して怒る」の二種類がありますよね。その場の怒りはしかたないとして、思い出して怒る回数は、減らせます。腹が立つことを思い出しかけたとき、わざと別のことを考えて頭から追い出せばいいのです。
昔から「落ち込んだら身体を動かせ」とか、「失恋の痛みを癒すには新しい恋を」といわれるのは、悪いことを思い出さないための対策だったのでしょうね。趣味に没頭してもいいし、笑える本やテレビを見ることもできます。
使われない回路は衰えて、やがては消滅します。回路は変更できるのです。
昔、ハウス名作劇場「愛少女ポリアンナ」の主人公は、寝る前にその日の良い事を数える「良かった探し」を習慣にしていたと聞きました(すみません、番組は観てなかったので、伝聞)。
最初に聞いたときには「なんと説教くさい話か」と思ったものですが、今にして思えば科学的根拠のある幸福技術だったことになります。
ポリアンナは正しかったのですよ。たぶん。
4.ストレスが作る腰痛
話はもどって、同じNHKの番組で、精神的な緊張が腰への負担を増やす、という実験がありました。ストレスが作る緊張が、筋肉を固くしてしまうのです。実際に患者さんを見ていても「ストレスがコリになってるなあ」と思う方は少なくありません。身体の緊張が強すぎて、力が抜けないのです。
だとしたら、幸福の回路が出来ればストレスも減って、腰痛や肩こりの予防にもなるはず。なるべく幸せの回路に変更していきたいものですね。
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