TAM手技療法に関する質問②
・M先生からの質問
池浦先生、お返事ありがとうございます!
さっそくですが、お言葉に甘えていくつか質問させていただいてもよろしいでしょうか?
質問① 仙腸関節調整についてなんですが、2008年12月10日の「TAM手技療法による仙腸関節の調整」の中で、骨盤上口の開閉による調整を説明されてますが、これと2005年11月23日の「AKAの治効理論⑧」にある「普段の臨床では、仙骨を固定し上前腸骨棘と坐骨を圧迫して滑らせる操作を行うことが多い」という手技との違いはなんですか?
質問② AKAでは「まず仙腸関節を調整、次に胸鎖関節・・・」といった治療手順がとられるようですが、TAMではどういう治療手順をとられることが多いですか? 例えば膝が痛い場合は、まず膝を調整するのでしょうか?
質問③ TAMがあまり効果を示さない疾患や症例はありますか?
以上、三つの質問について、池浦先生がお手すきの時でけっこうですので、ご教授いただければ幸いです。本当に、お忙しい中、勝手申し上げましてすみません。私の方こそ、今後ともどうぞよろしくお願い致します。
・八起堂の返信
メール拝見いたしました。質問の内容を見ますと、ブログを熱心に読んでいただいていることがよくわかります。自分の書いたことをきちんと受け止めてくださる方がいるのは、本当に幸せなことです。ありがとうございます。では。
質問①ですが、私は仙腸関節は平面関節ではなく「骨盤の開閉を行う凹凸の関節」(ただし、荷重は前の部分にかかっている)と考えています。これについては「AKAの治効理論」で書いたとおりです。
ご質問の2005年11月23日「普段の臨床では、仙骨を固定し上前腸骨棘と坐骨を圧迫して滑らせる操作を行うことが多い」は、外からの圧迫で仙腸関節を凸滑りさせる動きです。当時はまだTAMの出始めで、AKAの凸滑りの治療技術を残していたことによるものです。
その後、テンションとモーションについてさらに考えるようになり、この動きにAKAの治効理論⑦に書いた「仙腸関節の前後への軸回旋の動き」を加えることで、「TAM手技療法による仙腸関節の調整」の動きに発展したのです。そんなわけで「仙骨を固定し上前腸骨棘と坐骨を圧迫して滑らせる操作」は、今は使っていません。
質問②について
AKAにおいては、全身のどんな症状についても、仙腸関節の不調が影響して起こったものであると考えます。「第一原因である仙腸関節を調整しない限り、いかなる治療も効かない」と考えるために、最初に仙腸関節を調整するのです。
私は「関節に主従関係はない」と考える立場ですので、とくに治療の順番を気にすることはありません。どんな順番で行ってもいいと思います。
私自身は、
①側臥位の肩→足
②反対側の側臥位の肩→足
③仰臥位で頭→足
④伏臥位で頭→足
の手順で行っていますが、特に意味はありません。
ただ、患者さんが「○○が痛い」と言っているときに杓子定規にやると「話を聞いてるの?」ということになるので、主訴の部分と関連部分を最初に調整してから、全身調整に入ることが多いです。
なお、関節に主従関係はないと思いますが、関連性そのものは確実にあります。一つの関節が痛いと訴える方がいれば、どんなに時間がなくてもその上下の関節を調べて見なくてはなりません。不調のある関節のとなりの関節は、やはり不調を抱えていることが多いです。
質問③について
TAMは「組織の癒着をとる」ことを目的にした技術です。したがって、癒着に由来しない症状には効果を出しにくいです。例えば組織の断裂など、大きな変形がある場合には十分な効果は望めません。
また、筋肉の極端な疲労による場合、炎症がひどく起きている場合には、TAMよりも筋肉のマッサージや冷却の方が効果が高いと思われます(ただし、炎症の後にはよく癒着が生じますから、その治療には有効です)。
また、技術の性質上、苦手なものもあります。胸椎、腰椎は深くにあるため、不調の位置を調べにくく、正確なテンションとモーションをかけるのが難しい関節です。
最初のころは「狙い」が不十分で、AKAを使っていたころと同程度の治療効果しか出せませんでした(あくまで当社比)。最近は技術の進歩で効果も上がってきましたが、まだまだ改良の余地はあると思います。
苦手というのとはまた別ですが「狙った組織にテンションをかけ、それから必要な動きを与える」には、患者さんの筋力が邪魔になることがあります。筋肉が余りにたくましい人、筋肉の緊張が過剰で力を抜けない人の場合には、その筋力を超えて動かさなくてはならないので、かなり疲れます(笑)。最近は、患者さんの動きを誘導して、その動きに乗ってゆく方法を模索しています。
池浦誠
この項、まだ続きます。
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