快適な睡眠をとりたいのは誰でも同じです。しかし眠れないときに無理に眠ろうとするのもストレス。今回は眠れない夜の眠り方…というよりは、開き直りの方法を中心に。
1. 眠るために
眠るためには、身体を緩めることと、精神的にリラックスすることが必要です。身体を緩めるためには低温のお風呂や、軽いストレッチ。もちろん、マッサージも悪くありません(我田引水)。
眠れないときに使うツボ、というのも実在します。右の図の「失眠」というツボがその一つで、足のかかとの真ん中にあります。
刺激をするときは、お灸か指圧で。お灸では、私が相談された患者さんの8割以上で効果がありました。このツボは、むくみを取る働きもあるとされているので、もしかしたら水分の循環を良くする働きがあって、それが眠りを深くするのに働いているのかもしれません。
2. 眠れないときは開き直る
眠れない、と考えているとリラックスできなくなります。それではますます眠れなくなるので、まずは開き直りましょう。
人間に必要な眠りの量は人によって様々で、一定していません。しかし統計的には一日平均四時間以上であればとくに健康上の問題はないそうです。「短眠術」と言って、一日の睡眠時間を3~4時間にする方法を実行している人もいるくらいです。眠れなかったら起きている時間が長くて得だ、と開き直るくらいでいいと思います。
そこまでいかないにせよ、眠れない時間を有効利用することが出来れば、つらさも減るはず。寝転んだままできて、健康にもよく、眠りの助けにもなる、そんな方法をいくつか。
3.寝たままの時間の使い方
①自律訓練法
緊張しやすい人が、リラックスするための訓練方法です。お医者さんでも勧めている、れっきとした治療法です。
横になって目を閉じ、呼吸をゆったり。ついで全身の力を抜きます。ただ抜こうとしても難しいので「足が先から重くなってくる」と自分に言い聞かせます。足の後は手。そして全身。だいたいの力みが抜けるまでに、数分かかります(慣れてくると早くなりますが)。
そうしたら次は「手足の先が温かくなる」とイメージします。温かいような気分になったら、最後に「頭が涼しくなってきた」とイメージしてゆきます。
これは、身体がリラックスしているときの状態を再現する、自己コントロールの方法です。眠れないときに練習しておくと、起きている時間の緊張も下げやすくなって、疲れやストレスの軽減に役立ちます。
②瞑想
頭を空っぽにする瞑想は、ストレス対策に有効と言われています。とはいえ、わざわざ瞑想の時間をとるのは難しいもの。眠れないときは、絶好のチャンスだと言えます。
横になって目を閉じ、何も考えないようにします。いきなり「何も考えない」といっても難しいので、まずは自分の呼吸を数えることに集中します。1から10まで数えて、また1にもどる。こうして呼吸を数える方法を、座禅では数息観と呼びます。
人間は同時に二つのことは考えられませんから、呼吸を数えることで、余計な考えを頭から追い出すわけですね。呼吸を数える他には、気に入った言葉を繰り返すとか、時計の音に耳をすませる方法などもあります。余分な考えが浮かばなくなってくると、それだけでリラックスしてきます。
日常の悩みを頭から切り離して、精神に余裕を与える方法だと考えてもいいでしょう。
③内観瞑想
これは瞑想というよりも、自分の過去を思い出し、記憶を整理しなおすことで、ものごとの見方、考え方を変化させる方法です。自己啓発、精神的な問題の治療など、多彩な効果があるとされています。
自分のこれまでの人生を「幼稚園前・幼稚園・小学校・中学校…」のように数年毎に区切り、それぞれの区切りについて「人にお世話になったこと」「自分が人にして返したこと」「迷惑をかけたこと」の三点に集中して思い返してゆく、というのが正式なやり方。詳しく知りたい方は、本もたくさん出ているので、そちらで調べてください。
私自身は、記憶が出てくるにまかせて、だらだらしていることが多いです(眠くなりやすい、寝床向けアレンジ)。
同じ事柄でも、起こった当時と、現在では感じ方が変わることがあります。昔は大事件だと思えたことが、現在の意識ではたいしたことがないと思えたり、見落としていたことに気づいたり。事柄の感じ方が変わると、意識が少しずつ変わります。
意識が変わるときに、身体も変わることがあります。私の体験ですが、昔のことで「誤解だったな」と気づいたことがありました。誤解だったと思ったその瞬間、両肩から背中にかけての筋肉が一瞬で緩みました。そのときまで別に力んでいる自覚はなかったのですが、どこかに緊張があったのでしょう。柔らかくなった胸に息を吸い込みながら、考え方と身体とが関係していることをしみじみ実感しました。
瞑想にせよ、自律訓練法にせよ、やっている最中に眠ってしまうことが少なくありません。それはそれで得した、と考えられます。眠れない方、だまされたと思ってお試しください。